【SDGsを考える】こどもも大人も一緒に学んだ!ボルネオ島と私たちのつながり

「私たちの生活と世界のつながりを知り、考え、行動するきっかけにしてほしい!」

そんな思いで、8月7日、夏休みこども生活講座「ボルネオ島とわたしたちのくらしの関わりについて学ぼう」を開催しました。

例年人気のこの企画ですが、今年はさらに「ワークショップ」「ボルネオ体験」といった新たなコンテンツを追加してブラッシュアップ!!

定員の3倍近い抽選を見事くぐり抜けた皆さまと、穏やかな雰囲気で授業はスタートしました。

ボルネオ島ってどんなところ?

さて、授業のお話の前に。突然ですが、ボルネオ島ってどんなところかご存じですか?

ボルネオ島は東南アジアのマレー半島とフィリピンの中間、赤道直下に位置する世界で3番目に大きな島です。気候は熱帯雨林気候で、平均気温は年間を通じて25~30度。湿度は70~80%にもなります。

年間降水量は3,000~4,000mmと非常に多く(日本は1,700mm、世界の平均は880mm)、豊富な雨と赤道直下の強烈な日光が豊かないのちを育みます。

(認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパン「3分でわかるボルネオ」ページより抜粋)

子どもたちの大好きなゾウやオランウータン、そして昆虫など数えきれないほど多様な動植物が暮らす、それがボルネオ島です(写真は、講師の先生からご提供いただいた現地のボルネオゾウとオランウータンの赤ちゃん)。

先生はサラヤ㈱の中西宣夫さん

そんな、ボルネオ島で実際に長く活動を行っているサラヤ㈱の中西さんが今日の先生です。

ボルネオ島について知る

まず初めに、「ボルネオ島ってどんなところ」で「どんな動物や植物が暮らしているか」を楽しくクイズ形式で学びました。

私たちの食品や日用品に欠かせない「植物油(パーム油)」

その多くがボルネオ島で作られており、私たちだけでなく現地で暮らす人々にとっても必要不可欠なものであることも知りました。

一方で、大量のパーム油を作るために豊かな森が「プランテーション(人口林)」となり、動物や昆虫が、住む場所を奪われている現状も。

住処を奪われたボルネオゾウが、プランテーションや人間の住む街に踏み入ってしまうことで、人間社会との衝突がおきています。ゾウが捕らわれたり、殺されてしまう悲しい現実を臨場感ある現地の映像をとおして目の当たりにしたこどもたち、その眼差しは真剣そのものでした。

さて、この問題に私たちはどのように向き合えばよいのでしょうか。

緑の回廊プロジェクト

こどもたちが教わった解決策の1つが、中西先生の取り組む「緑の回廊プロジェクト」※。

緑の回廊プロジェクトは、キナバタンガン川沿いに残る熱帯雨林を所有者から買い取ることで、アブラヤシプランテーションの開発により分断されてしまった森をつなぐ取り組みです。

※緑の回廊プロジェクトの詳しい情報は認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパン「緑の回廊」ページをご覧ください。

ボルネオを感じる

さて、ボルネオの現地で起きる悲しい現実ばかりに目を向けるのではなく、「生き生きとした現地の暮らしを少しでも感じてほしい!」

そんな想いで、今年は「ボルネオ体験」を用意しました。
体験は、この日のために中西先生が直接調達してくださった現地のお茶「サバティーの試飲」と、テンカワンの木から作られる「石鹸の匂い体験」の2種類。

テンカワンの木から作られる石鹸。大人もこどもも、興味深々。

サバティーの試飲も大盛況。
どんな味かな?

自分で考えてみる

「ボルネオ体験」をして、しっかりと現地とのつながりを感じとったところで、ワークショップの時間です。この難しい問題に、私たちはどうしたらよいかを考えます。

まずは、こどもたち自身で考えてみました。

この日集まったこどもたちは、小学2年生~5年生まで。年齢も、住んでいる場所もバラバラ。答えのない問題に四苦八苦しながらいろんな思いやアイデアを書いてくれました。

みんなの意見を聞いてみる

「どうしたらよいかわからない。」「何を書いてよいかわからない。」そんな声ももちろんありました。
大人だってすぐに解決できない難しい問題なので当然です。

当日は神戸市内の大学生9名がこどもたちと一緒に考え、話し合いました。

「わからなくてもいいんだよ」と大学生のお兄さんお姉さんの優しいアドバイスに安心した表情も。

想いをかたちにする

こども達と大学生で出しあった様々な意見をみんなで共有し、その想いを形にする企画「みんなで緑の回廊を作ろう!」。今回の目玉イベントです。

どこに貼ろうか迷いながらも、こどもたちは丁寧に付箋を貼ってくれました。みんなで学び、ボルネオ島への想いを込めた、こどもたちがつくる「緑の回廊」が少しずつ形作られていきます。

そして、みんなの想いがつながり、世界に一つだけの「緑の回廊」が完成しました!

中西先生から最後にコメントをもらって、楽しかった授業もおしまいです。

思い出にみんなで集合写真

参加された方のお声(参加者アンケートから抜粋)

こどもから大人まで参加された皆さまから、一人も漏れることなくアンケートにご協力をいただけました。うれしい言葉がたくさん!ありがとうございました!!

こどもたちの声(アンケート回答原文ママ)
・ みんなではなしあうところがたのしかった。(2年生) 
・ いつもつかっているものや、たべているものにパーム油がつかわれていて、人にはやさしいけど森や動物にはえいきょうをあたえていることがわかった。(3年生)
・ 今の人間がしていることが人間にも動物にもかんけいしているので自分でもできることをしたい。(3年生)
・ ボルネオ島のことをよく知れた。最後思ったことを書いてみようで、みんなの思ったことが見れた。(4年生)
・ 年耐雨林についてしれたりそのなかでゾウやオランウータンの問題についてくわしく知れてよかったです。これからは、熱帯雨林以外にも地球全体の問題にもくわしくふれてみたいです。(5年生)

保護者のみなさまの声(アンケート回答から)
・ 大人が聞いても知らないことがたくさんあったので、家に帰って子どもと話合いができればなと思います!!
・ とても工夫されていて学生の参加もあったので雰囲気のよい講座でした。ありがとうございました。
・ 親の私も知らない話を聞けて、これから買い物をする際は表示を気にするようになると思います。
・ 正解のない問題に触れ、考えることは子どもの当事者意識を養う良い機会と思います。

大学生のみなさま

運営のお手伝いとともに、最後まで子どもたちに笑顔で寄り添いながら、自身もしっかり楽しんでくれた学生のみなさま。ありがとうございました!

イベント後に開催された「学生×職員の座談会」の様子はこちら

最後に

授業を通じて、普段生活をしていると見落としてしまいがちな「買い物」と「世界」のつながりに、こどもだけでなく大人も気づくことができました。

洗剤、化粧品、クッキー、ポテトチップス・・・私たちの生活には、パーム油を使った製品が溢れています。ただ、その一方で認証パーム油※の取り組みなど、環境に配慮した取り組みも進んでいます。

日常のちょっとした商品選びから、環境にやさしい行動を始めてみませんか。

※認証パーム油:持続可能なパーム油の生産と利用を促進するために、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)などの認証機関によって認証されたパーム油のことです。RSPO認証は、環境と社会への配慮を考慮した基準を満たしたパーム油生産を保証するもので、認証されたパーム油は、最終製品に至るまで追跡可能なサプライチェーンで管理されます。

パーム油と認証パーム油の詳しい情報は、認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパン「3分でわかるパーム油」ページをご覧ください。

今日のおやつに認証マークは付いているかな?

協力

(公社)消費者関連専門家会議(ACAP) HP Instagram Facebook (SNSではイベント等の様子も配信!)
(一社)ひょうご大学生支援機構(HUSSO) HP
サラヤ㈱ HP
写真撮影 長谷川肇

※写真撮影及び公開にあたっては、参加者の皆さまの同意をいただいきました。ご協力ありがとうございました。


(番外編)大学生×消費生活センター職員の座談会

講座終了後、子どもたちが帰った後に、大学生と職員の座談会も開催しました。

職員からこれまで携わらせていただいた仕事を紹介すると、神戸市内の大学に通いながら将来の選択肢の1つとして公務員に興味をもつ学生の皆さんからは、さまざまな質問が上がりました。

いつか一緒に働ける日を楽しみにしています!